現役営業マンが「影響力の武器」を読んで学ぶ
こんにちは。健四郎です。
最近めっきり寒くなってきました。寒さに弱い僕にとってもっとも嫌いな季節到来です。
さて、そんな寒い中久しぶりの更新ですが、今回は「影響力の武器」という本の話題です。
原著初版は1988年とのことで、何十年も改訂しながら読まれている名著です。
内容は営業職で働いていれば経験則的に思い当たるふしのある様なものではないでしょうか。
そういった事柄が科学的研究、実験結果、読者や著者の実体験とともに非常にわかりやすくまとめられています。
僕も一度転職をしていますが、キャリアはずっと営業マンとして歩んできました。
最初は営業職の原点とも言える泥臭い飛び込み営業、そして今は担当を持つルート型の営業をしています。
特に飛び込み営業時代の会社で教えられたトークやノウハウは、この本に書かれているような心理学的背景を持ったものが、非常に多くあります。
しかし、日常の営業活動を振り返って、まだまだ僕自身もせっかく培ったそういったノウハウを完全に使いこなしているとは言えません。
経験則に頼り感覚的にこなしているので、実際人に聴かれた時にうまく内容を伝えられるかも怪しいです。
むしろ、そういった感覚的、経験則的なものを自分の言葉でまとめてしまうと、自分の意見を表明してしまったが故にその考え方に居着いてしまい、柔軟性を損なうのではないかと思っていました。
ただ、営業は人に価値を伝える仕事でもあります。
会社内で、はたまた転職活動の場で、今後自分の中で培ったノウハウを巧く伝える必要に迫られる時がないとは言えません。
そこで、今一度人間心理の原理原則を学び直そうと思い立ち、今回の記事から連載でこの「影響力の武器」一章ごとに、自身の経験や身の回りで該当する様な事柄を振り返りながらまとめていく事で、理解を深めようと思います。
目次は以下の通りです。
■現役営業マンが「影響力の武器」を読んで学ぶ
▶第1章 ▶第2章 ▶第3章 ▶第4章 ▶第5章 ▶第6章 ▶第7章 ▶第8章
■-第1章- 現役営業マンが「影響力の武器」を読んで学ぶ
■-第2章- 返報性 営業におけるギブアンドテイクの魔力
■-第3章- コミットメントと一貫性 営業マンと登る契約への階段
■-第4章- 社会的証明-だって皆がいいと言ってるから
■-第5章- 好意 顧客を魅了する
■-第6章- 権威〜営業における誠実な権威への服従〜
■-第7章- 希少性 顧客の背中を押す見えざる手
■-第8章- てっとり早い影響力
※影響力の武器[第3版]なぜ、人は動かされるのか-ロバート・B・チャルディーニ-を読み解いていきます。
※思いっきりネタバレします。
第一章 影響力の武器
この章では著者の知人女性の印象的な体験談から始まります。
その女性はジュエリーショップの店主。どうやっても売れなくて困っていたターコイズ(トルコ石)を、半ばやけくそで店員に1/2の値段で売るようにメモで指示を出したところ、うっかり店員ちゃんが2倍だと勘違いして元値の2倍で販売。
すると、あれだけ売れなかったターコイズが瞬く間に売り切れてしまいました。
これは多くの人が生きている中で経験的に知っている「安もの買いの銭失い」というルールから、'高いもの=品質がいい'と解釈してしまい、価値を見誤ってしまったという話です。その商品に関する周辺知識が乏しいほど陥ってしまいます。
著書では動物がある条件下で機械的な行動パターンをとる事を、カセットテープのスイッチが作動して流れる様子になぞらえてカチッ・サーという題名がついています。
人間の場合この自動反応は、得られる情報の中から最適な答えを素早く引き出すために、思考の近道をするために使われているそうです。
生まれ育った環境、世の中の常識などから知らず知らずのうちに人はこの影響を受けています。
実体験で思い返してみると、営業の現場ではよく使われる手法です。
例えば、迷っている顧客に自社の製品をPRするとき、製品の長所を話した後に「やはりこの製品は先ほど言った○○という部分がいいと他のお客様も言われてますね」などと話したりします。
このフレーズでミソとなる部分は「他のお客様も言われていますね」という所です。
これは、暗に第三者評価を伝える事で製品の価値評価を高める強力なトークです。
今時はネットで物を買うときは、アマゾンなどでレビューを確認したり、新しいお店を探す時は食べログで口コミを確認してお店に入る事が多いと思います。
このように、専門知識がない事を判断するとき他者の評価を参考に意思決定をすることは、日常生活でもよくありますよね。この心理を利用します。
ちなみに一番効き目があるのは、その顧客の知人の評価を伝える事です。
なので、ルート的な営業であれば普段の雑談からその顧客の人間関係を出来るだけ探ります。
飛び込みであれば、その飛び込みをかける地域の商品普及率を調べ、具体的にご近所さんの○○も○○もすでにこの商品を使っているようですよ、とさりげなくトークに織り交ぜます。
やはり、営業マンだけの製品評価より、同じ消費者の製品評価の方が、知人友人の評価の方が信頼されますからね。
・・・思い返してみると、しっかり影響力の武器を使っていました。
こういう手法はどこの業界でもあると思いますが、特に顧客と営業の商品に対する情報格差が大きいところだとかなり営業マン優位に使われていると思います。(例えば不動産、金融など)
消費者としては知らない事を調べる、勉強して理解するというのは非常に負担がかかることですが、営業マンに任せる事でその分コストを負担する事になるので、どこまで許容出来るか頭の片隅に置いておいてもいいかもしれませんね。
次回は、第2章 返報性を学んでいきます。