Money Think

お金について、勉強した事、実践している事などざっくばらんに綴ります

-第3章- コミットメントと一貫性 営業マンと登る契約への階段

こんにちは。健四郎です。

 

自分でも意外なほど連載が更新出来ています。

これも第一回目の記事で連載を宣言したためによる、コミットメントと一貫性の影響力のなせる技なのでしょうか。

 

そんな、今日の話題は「影響力の武器」第3章から"コミットメントと一貫性"についてでございます。

 

 

※影響力の武器[第3版]なぜ、人は動かされるのか-ロバート・B・チャルディーニ-を読み解いていきます。

※思いっきりネタバレします。

 

 

第3章 コミットメントと一貫性

コミットメントと一貫性、これは営業ではなくてもよく意識して使われている影響力の武器ではないでしょうか。

 

一言でいうならば、自分がすでにしてしまった事、言ってしまった事と一貫していたい(他者からも一貫しているように見られたい)という欲求に基づくものです。

それにより、一度決定を下したりある立場をとるとコミットメントをすると、自分の内から外から圧力が加わり、行動に影響を与えます。

 

特にこのコミットメントと一貫性の効力が発揮されるのは、著書によると何らかの行動を伴う事、他者に表明すること、なんらかの努力を要するコミットメント、そしてそれらの行動を自分の意志で選択すること(自分に責任があると自覚する)と書かれています。

 

自己啓発本などにもよく書かれている「実現したい目標を紙に書く」「夢や目標を人に話す」というのはこのコミットメントと一貫性を使った典型的な手法ですね。

上記の条件を全て満たしているため、非常に強力に自分を動かす事が出来ます。

 

 

営業に於いても、この技術は至る所で応用されています。

中でも著書でも紹介されている「フットインザドア」という、小さな要求を通すことで、もっと大きな要求を飲ませやすくするという手法はかなり繁用されており、著書の中でも数多くの具体例が挙げられています。

 

僕の体験の中で振り返ると、まず顧客に商品の話を聴いてもらう所からこの手法を用いたりします。

 

例えば、僕が新製品のエアコンを売っているとします。このエアコンに換えると、従来のものより30%も電気代が節約出来ると仮定します。

顧客は、特にエアコンを買うつもりがなく、ただ時間をつぶしているだけとします。

 

 

まず僕は顧客に「最近寒いですね」と何気ない話を振ります。

顧客「そうですね」

健四郎「僕寒がりなので、この寒さでもう暖房つけちゃいました」

顧客「そうなんですか。うちはまだですね」

健四郎「そうなんですね!いつも冬場は電気代が1万以上いくので今から怖いです。お客様は何となく節約上手そうですから、そんなにかからないと思いますけど」

顧客「そんなことないですよ。うちは4人家族だから、もっとかかりますよ」

健四郎「え!そうなんですか?3万くらいとか?」

顧客「いえいえ、家族別々の部屋で過ごす事が多いので5万以上はかかりますよ」

健四郎「5万円ですか!それは結構かかりますね。やはり少しは節約して欲しいところですよね。でもあんまり小言を言うとご主人さんやお子さんから嫌がられますし」

顧客「そうなんですよ。中々言えないんですよー」

健四郎「そうですよね、言いにくいですよね。でも出来るなら高いより少しでも節約したいところですよね?」

顧客「そりゃ高いよりはねー」

健四郎「そうですよね。少しでも安くなったらいいですよね。ちなみに最近新しいエアコンが出まして、このエアコン30%も従来品と比べて電気代が安くなるんですよ」

顧客「そうなんですね」

健四郎「そうなんですよ。やはり皆さんそうですが、少しでも電気代は安い方がいいですもんね。だから最近よく売れてるんですよ」

顧客「そうなんだ。でも高いんでしょう?」

・・・・・

 

例題なので簡単に省略してますが、製品紹介に入るまでの話の流れの一例です。

(僕は家電製品の営業マンではないので想像です)

 

最初、何気ない天候の会話からスタートし、電気代の話にシフトしていっています。

その中で、顧客の情報を引き出すために、自分の生活費の話を呼び水にしています。

 

そして、重要なのが「高いより安いほうがいいですよね」という部分です。

ここで顧客から「そうですね(YES)」を引き出す事で、その後に節約商品の話題に移した時に「興味ない」と話を拒否されるリスクを減らしています。

 

顧客としては、一度「高いより安い方がいい」という言葉にYESと答えてしまったために、その後すぐに節約商品の話に移行しても話を断りにくくなっています。

 

これが、コミットメントと一貫性の影響力を駆使した営業トークの一例です。

コツとしては、まず最初の段階の小さなYES(コミットメント)は、出来るだけ誰もがYESと言ってしまう様なありふれたものから入る事です。

 

先に例に挙げた様な「高いより安いほうがいい」というのは、おそらくほとんどの人が否定しない文言です。

このような所から小さなYESを重ねていきます。

 

そして、顧客の方から商品に対する質問を出来るだけ多くしてもらうように話していきます。

 

この質問を重ねるという"行動"をとることで、顧客自身の中に無意識に商品への興味が高まっていきます。

 

そしてクロージング出来る前段階まで商品に対する顧客の興味が高まっている事を感じたら、その辺りでその「興味を持って質問を重ねている自分」を言葉に出して自覚させます。

 

健四郎「すいません、僕の説明が不十分なために何度も質問させてしまって。」

顧客「いやいや、そんなことないよ」

健四郎「○○様は普段お忙しい身だと思いますので、出来るだけ今のうちにこの商品について聴いておきたいのは当然ですもんね」

 

こんな感じのやり取りを言葉を変えながら何度かしておきます。

顧客は「興味があるからたくさん質問している自分」を意識するようになります。

すると、一貫性のテープが加速していきます。

「なんで自分は忙しいのにこんなに質問をしているんだろう」→「この商品が欲しいから」

という方向で。

 

このように、営業現場に於いてこのコミットメントと一貫性の影響力は非常に強力なツールとして使用されております。

イメージとしては、顧客の小さなYESを積み重ね、なだらかな階段を上っていき、契約という扉まで顧客自身で上ってもらう感じです。

 

普段何気なく行っている顧客との雑談も、このようなところを意識するとより契約に近づく事が出来るのではないでしょうか(自戒も込めて)

 

 

 

翻って、消費者の目線で考えればなんだかんだ言って話を聴くことにしたのも、購入の意思決定も、自分が下しているので(誘導されたとしても)非常に断りにくい手法です。

 

 

もしもこの影響力の武器を使われて不要なものを買いそうになったり、不利な契約を結びそうになったと感じたときは、直感に従って一度冷静になる時間を作るようにするのが一番の対策です。

 

 

また、自分がこういったコミットメントと一貫性の影響を受けやすいタイプなのかどうかも自覚しておいた方がいいでしょう。

著書には影響を受けやすいタイプとして、高齢者と個人主義が例で示されています。

あるデータでは若者よりも高齢者の方が一貫性を保とうとする傾向があるようです。

他者の意見よりも過去の自分の体験や、意見、選択を参考にして物事を決める傾向にある個人主義の人もこのコミットメントと一貫性の影響を受けやすいと書かれています。

 

こういった自分のタイプを把握して意識しておく事も、この影響力の武器から身を守るための手段となります。

 

 

 

 

 

次回は、第4章社会的証明について学んでいきます。