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サラリーマンが太陽光発電所を作るまで  〜産業用太陽光発電について〜

こんにちは、健四郎です。

 

昨日の記事に続きです。

 

 目次ドン!

■サラリーマンが太陽光発電所を作るまで

-1- 太陽光発電について

➡️■-2- 産業用太陽光発電について

-3- 物件の探し方〜その1

-4- 物件の探し方〜その2

-5- 契約後の流れ、運営について

 

 

産業用太陽光発電について

前回記事で書いたように、産業用太陽光発電は10kW以上のシステムで、固定買取期間は20年となります。

 

再生可能エネルギーの普及を目的に2012年に1kW40円の買取単価(産業用)で始まった制度ですが、買取単価は毎年見直され下がっています。

 

来年度は15円単価が予想されており、資源エネルギー庁の資料を見ると2030年には7円まで単価が下がる予測となっています。

 

【参考資料】

国内外の再生可能エネルギーの現状と 今年度の調達価格等算定委員会の論点案

 

その代わり、設備の導入コストも年を追うごとに下がっています。

※リンク資料中のシステム費用表から作図。システム費用は平均値

【参考資料。平成28年以降のものが見つけられず…】

電源種別(太陽光・風力) のコスト動向等について

 

2012年でkWあたり43万円だったので、仮に50kWの太陽光発電所を作ろうと思ったら単純計算で2150万円かかっていました。

 

それが2016年には32.7万ですので、同じ50kWの発電所でも1635万で作れます。

 

4年間で515万円も導入コストが下がっています。

今現在だと50kWくらいの発電所ならだいたい700~800万くらいでできると思います。

 

こういった発電設備自体の低コスト化、買取単価の低下が進んだことで、最近では発電量を最大化するために「過積載」という手法が取られるようになってきました。

 

 過積載とは

最近の産業用太陽光発電を考える上では避けて通れないものになりました。

 

過積載とは、パワコンの出力よりも太陽光パネルの容量を大きくして売電量を最大化する手法です。

 

例えば、パワコンの合計容量が49.5kWのところに、パネルは92kWで設置するような形です。

 

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既認定案件による国民負担 の抑制に向けた対応より 

 

過積載することのメリットは、過積載しない場合に比べてより多くの発電量を確保できることです。

 

上の図のように、過積載なしの場合と比べて過積載をすると、パワコン容量以上の部分がピークカットをされてもトータルの発電量は多くなります。

 

そうすると、大容量の太陽光発電所が増えそうなものですが、申請上は50kW未満の低圧太陽光でやっているところが多いです。

 

これは50kWを境にして電気事業法上の取り扱いが変わるためです。

 

産業用太陽光発電の場合、出力が50kW以上なら「高圧」、未満なら「低圧」という区切りになるのですが、「高圧」発電所になると管轄消防署への保安規定提出、キュービクル(変圧器)設置が必須、電気主任技術者をおかないといけない、など多くの追加コストが発生します。

 

低圧発電所の場合はそういった電気主任技術者を置いたり高額なキュービクルを設置しなくて良いので、低圧認定されるギリギリの49.5kWでパワコンの容量を組んで、パネルは過積載で最大限敷くというのが流行っています。

 

(太陽光パネル容量と、パワコン容量のどちらか低い方がその発電所のシステム容量になります。パネル92kW,パワコン49.5kWならパワコン49.5kWの方をとり、49.5kWの低圧発電所)

 

どこまで過積載したらいいか?と言う問いに明確な答えはありませんが、現状では業者さんからも設置できるスペースがあるなら最大限まで過積載した方がいいと提案を受けることが多いです。

 

21円単価時代までは、業者さんによっては過積載率150%くらで提案していたところもありましたが、単価が18円に下がってからは収益確保のため、パネルを積めるだけ積んで発電量を増やす方向で提案していると言う営業マンもいました。

 

データ元によりますが、だいたい過積載率120%くらいまではピークカットによるロスはほぼなし、160%で4%ほど、200%で12%ほどのようです。

 

【参考】

PVビジネスセミナーでの話題 | コラム記事 - 太陽光発電投資コラム - メガ発通信

 

 

設置費用の低下もあり、現状では発電シュミレーションで費用対効果をみながら最大限過積載をした方が得なことが多いようです。

 

また、過積載は固定買取期間終了後も有利に働くのではないかと考えています。

 

資源エネルギー庁の資料をみていると、固定買取制度終了後は「①自家消費をするか、②相対・自由契約で 余剰電力を売電することが基本となる。」と書かれています。

【参考】

住宅用太陽光発電設備の FIT買取期間終了に向けた対応

 

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資源エネルギー庁資料より抜粋

 

こちらは一足早く固定買取終了が始まる住宅用太陽光発電に関する記載ですが、産業用も大きくはこのような流れになるのではないかと考えています。

 

過積載で絶対的な発電量が昔の低圧太陽光発電所より多い最近の発電所は、固定買取終了後も事業を維持できるレベルで売電を行える可能性もあるかもしれません。

 

段階的に終了する優遇制度

当初は再エネ普及のため、様々な優遇措置が設けられていました。

 

有名なものは「グリーン投資減税」です。

 

グリーン投資減税とは?(資源エネルギー庁HPより)

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特に大きかったのは太陽光設備費の即時償却です。

 

太陽光発電システムの法定耐用年数は17年ですが、2015年3月31日までは設備の取得年度に即時償却が認められていました。

 

その為、会社の社長や物件の売却を行って大きく利益が出ている大家さんなどは、よく太陽光発電を買っていました。

 

日当たりの悪いイマイチな物件でも現地も見ずにすぐ買う人が殺到するくらいの人気でした。

(その数年後、役目を終えた中古太陽光物件がセカンダリー市場に出ているのを目にすることがあります)

 

現在は、一部を除き即時償却はできないようです(全量売電は全てダメです)

 

他にも、以前は事後的な増設、減設をしても過去の高単価のまま売電できましたが、今は単価を申請取得した際の認定出力から以下の変更があると、変更申請をした時の新単価に全て変わります。

 

※2017年8月31日に改正

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これは、固定買取をするための原資が全ての電力使用者から賦課金を徴収することで成り立っているため、国民負担と再エネ普及のバランスをとるためという側面もあります。

 

そのため、以前あった各種優遇制度も太陽光発電の普及度合いをみながら段階的に終了していっています。

 

現在太陽光発電事業をしている、または考えている人は資源エネルギー庁の新着情報欄は定期的にチェックしておいた方がいいでしょう。

経済産業省 資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー

 

 

 

次回は具体的な物件の探し方などを書いていきます。

 

つづく 

 

 

前回記事はこちら

 

moneythink.hatenablog.com